実は、5年生での出来事以来声をかけづらくなり、7年生になってからは本当に、数回言葉を交わしたかも怪しいところだった。
それはひとつに彼の「一番大切な人」と「世界一憎い男」が付き合い始めたという事実があったからで。
それは相当な苦痛だっただろうと考えると自分の身も捩れる思いだった。
それからの彼はより一層闇の世界にのめり込んでいった。周辺環境を考えればそれは自然なことのようにも思えたが、私には半ば自暴自棄になっているように見えた。
だから結婚という単語を耳にして、一番に思ったのは彼のことだった。こんな状況にあって、誰が平静でいられるというのだろう。
ただなんとなく、会いに行かなければと思った。
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