泣かないでください、とあいつは困ったように言った。誰が泣くもんか。泣きそうなのは自分のくせに。そう心で叫んでもあいつには届かない。


「どうか笑ってくださいよ。今日が最後なんですから」
「………」
「ねえ、仁王くん。確かに私は今日でここを去ります。だけどあなたにそんな顔をされてしまうと去るに去れません。だから、だからどうかお願いですから、」
「だったら行かなければいいじゃろ」
「仁王くん……」


そうだ。俺が泣くことであいつを、柳生比呂士を引き留めることに繋がるのなら、俺は絶対に泣くのを止めない。泣いて、泣いて、泣きつくして、涙が出なくなったらこっそり目薬を射して、また泣いて。あいつは紳士だから泣いたままの俺を放っておくことが出来ない。困ったような顔で俺を宥めるのだろう。でも俺は知らんぷり。泣いて、泣いて、泣いて。


それで、あいつがここにとどまってくれればいい。



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突発ネタ。
シチュエーションに意味はないです。
そもそも82なのか28なのかさえも不明だったり。



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