左の瞳、つまりは自分から見て右の瞳に咲いたのは紛れもなく生きた花。真っ赤なそれは、元々そこにあったはずのものと鮮やかさでは大差ない。どうやら痛みは感じないらしく、その異様な姿の割に大王は平然としていた。


「起きたらこうなってたんだ」


寝るまでは何とも無かったのに、とやや困ったように笑う。なんてことない表情のはずなのに、妙な違和感を覚える。


「痛くは無いんだけど、ちょっと視界が悪くなったかな。というか、左は何も見えないや」


右目を隠して確かめながら、淡々と事実を伝える口ぶりにぞっとする。この仕事に僕が就いてから相当の年月が経っているはずだが、こんな状況は初めてだ。それなのに、目の前の男は特に動揺を見せない。それはまるで「こうなることを覚悟していた」かのようで、思わず息を呑んだ。


「大王、あんた、」
「なあに?」


にっこりと微笑まれて、飛び出しかけた言葉を飲み込む。なんでもないです、とやっとの思いで弾き出した嘘を大王は見抜いているだろう。それでも何も言わないのは、僕にこれ以上何も聞かれたくないからだろう。



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診断メーカーで出たお題を元に。かなり中途半端なところで力尽きました。



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