※メアリーとイヴが入れ替わったED



自分を呼ぶ声にメアリーはそっと微笑む。声のする方に向けたその表情はきらきらと輝いている。


「お母さん!」


勢いよく駆け寄り、そのまま温かい胸の中に飛び込む。ぎゅう、としがみつけば大好きな香りが鼻孔をくすぐった。頭を撫でられる感覚に顔を上げれば、優しい母の笑顔がそこにあった。


「メアリーは甘えん坊さんね」
「えへへ。だって、お母さんが大好きなんだもん!」


にっこりと満面の笑みを浮かべて再び顔を埋める。あらあら、と嬉しそうな母の声を聞きながら、少女は本来ここにいるはずだった少女を思い浮かべた。自分が散らしたあの赤い薔薇は彼女によく似合っていた。優しくて思慮深くて、笑顔が可愛かった彼女。自分のために犠牲になった彼女。


(でもね、イヴ。返すことは出来ないの)


憂鬱でしかなかった美術館を飛び出したあの日、メアリーに父と母が出来た。優しくて温かい家族は、長い間焦がれ続けてきたものだった。手放したくなかった。返したくなかった。だから少女はあの青い薔薇の青年との関わりを断ち切った。芽は全て摘み取った。


頭上の義母に見えないようにこっそりと口角を上げた少女の目は、どこまでも蒼かった。



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もしもギャリーさんじゃなくてイヴがメアリーの入れ替わりになったとしたら。



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