興味津々。そんな言葉が顔にありありと表れている少女は、しかし人ではなかった。外見こそは人そのものだが、異常なまでに薄い色素と獣のような金色の眼が彼女が人ではないことを証明している。


君たちの前にいるこの少女は限りなく人に近いアラガミだ――。変人と名高いかの博士が青年たちにそう語ったのは五日程前。各々が驚きに包まれた表情を見せる中、ソーマだけは表情を変えなかった。代わりに胸中に浮かんだのは絶え間ない憎悪。人に近いとはいえ、アラガミであることに変わりはない。アラガミは殲滅すべき対象だ。なぜならそう教え込まれてきたのだから。


しかし、とソーマは思考を巡らせる。目の前の少女の正体を知ったあの日、一抹の戸惑いを覚えたのも確かだった。信じられなかった。少女が人でないことが。


アラガミは殲滅すべき対象だ。なぜならそう教え込まれてきたのだから。それなら、自分はこの少女を殺さなければならないのか?こんなにも人らしいのに?


「…チッ」


意図せず漏れ出た舌打ち。ソーマはやり場のない苛立ちを感じていた。外部に発散されないそれは胸中でぐるぐると渦巻き、より混沌としたものへと変わっていく。クソッタレ、と自分自身に対して毒づく。


それほどまでに、少女は人だったのだ。



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人に近いアラガミ。



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