穏やかな昼下がり。静かに眠る上司の横で鬼男はそっと笑みを浮かべた。ここのところは急激な亡者の増加で天国も地獄も慌ただしかったのだが、それも先ほどようやく一段落がついた。少しだけごめんね、と目の下の隈を作った顔が笑ったのはほんの十分前。


的確な指示を出していたその口はわずかに開かれ、そこから小さく寝息が洩れる。そっと顔にかかった髪を指ですく。すっ、と障害なく通す黒は女のものようだ。愛おしい、とはきっとこういうことを言うのだろう。鬼男は確信する。


ふと、以前天国の亡者が上司に持ってきた花を思い出す。白いそれは一見頼りなく、しかしどこか安心感を与えた。亡者が帰った後、彼は笑っていた。


『まるでオレと君のようだね』


その言葉の意味を鬼男は知らないし、知りたいとも思わなかった。知らなくてもいいとさえ思っていた。


心臓が穏やかに脈打っている。これが全ての答えだということを鬼男はきちんと分かっていた。



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ヒヤシンス/白(心静かな愛)

診断メーカーで出たお題。
テーマは花言葉。

口には出さないけどちゃんと愛してる二人をイメージしたけど表現しきれてないですすみません。



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