「じゃあウォルティナはっ?」 「水浸しになるぜ?」 「…じゃあネティンは?」 「場所的に無理じゃないでしょうか…」 マナロスとリエルにことごとく反論(?)され、落ち込むシャニカをうっとうしそうに見つつ、ロイが小さく呟く。 「砂漠の中でも日陰があったらいいけどね…」 「それだっ!!!」 その言葉に弾かれた様に、シャニカがロイの服のリボンを掴む。 「日陰作ればいいじゃんっ」 「はぁ!?ムリだよムリっ」 ロイはリボンを掴むシャニカの手を適当に払うと、思いっきり呆れた顔をし、反論する。 が、シャニカは意味深な笑みを浮かべ、ビシッと彼に向けて指を突き付けた。 「ここじゃ無理だけど、外でならネティンで日陰作れるじゃん!」 「あ、なるほど!リエル、出来るか?」 「あ、はい!じゃあここを出発する時にやりますね♪」 盛り上がる3人を、ロイはため息をつきながら見ていた。 そして、再び砂漠に出る日。 一行は荷物をまとめ、宿を出た。 「さ〜て!エルちゃんよろしくっ」 「はい!―――雄大なる地よ、具現せよ…契約者の名において命ずる、出でよ、ネティン!」 『ん〜?なぁに〜?』 リエルの詠唱で、指輪からノーム―――地の精霊が出てくる。 相変わらずうねうねと動いているノームに、リエルは一歩近づいた。 「あの…日陰を作っていただけませんか?」 『別にいいよぉ〜』 そう言うと、ノームは砂の中にもぐり地面を震わせ始めた。 そして、少しすると大量の砂が持ち上がるように積み重なり―――崩れた。 「狽ヲぇっ!?」 シャニカが驚きの声を上げる中、砂の中からのっそりとノームが姿を現した。 『無理だよぉ〜。もっと湿って固まってなきゃ持ち上げられないよぉ〜』 「じゃあウォルティナを…リエル、大丈夫か?」 う〜んと軽く唸り、ヨシュアがリエルを見る。 リエルは頷くと、アクアマリンの指輪を取り出した。 「清澄なる水よ、具現せよ…契約者の名において命ずる、出でよ、ウォルティナ!」 リエルの声に合わせて、指輪が淡く輝き出す。 だんだん輝きが大きくなり、目の前には水の精霊、ウォルティナがいた。 『主よ、何かお困りですか?』 慈愛に満ちた笑みを浮かべる彼女に、リエルは困った様に言った。 「えっと…ここの砂に水をかけて、出来るだけ固く出来ませんか?」 『分かりました』 |