右を見ても砂漠。 左を見ても砂漠。 後ろを見ても砂漠。 前を見ると実は町。 ここは、砂漠の町レネル。 一応地面は石を並べて作ってあるが、砂に覆われほとんど見えなくなっている。 この町は、砂漠の出口に近い方に位置してはいるものの、やはり砂漠。 そんな中、皆が思う事はただ一つ。 「あっっっつーーーーーーーいっ!!!」 「暑い暑い暑い暑い…」 「ベトレイヤーうるさいよ…」 「シャニカこの近くの生まれだろ?」 「そうだけど砂漠じゃないよっ」 部屋の中には3人。ヨシュア・ロイ・シャニカが買い出し組(リエル・ネフス・マナロス)を待っているところだ。 ネリアとエリィは別の部屋で休んでいる。 「あ〜…なんでこんなに暑いんだろ…」 「砂漠だからだよ」 「いやそうだけど」 シャニカが床に寝転がりながら嘆き、ロイが適当にツッコむ。 いつもの光景だが、やはり元気がない。 ヨシュアはもう、喋る気力さえないようだ。 そんな時、ドアが開いた。 「ただいま帰りました〜…」 「あ〜…微妙に涼しいぜ…」 「…疲れた…」 買い物組が帰って来たのだ。 買ってきた物はほと んど水で、ネフスとマナロスが床に置いた袋からはぽちゃんという音がしていた。 「あ、おかえり〜」 「お疲れさま」 「…おかえり」 死にそうなヨシュアにため息をつきながら、ロイが袋から水を取り出し彼に渡す。 シャニカは床に寝転がったまま、ほふく前進もどきで袋まで行き、中の水を飲んでいる。 とりあえずその場の全員が水を飲むと、ネフスは残りの水をネリアとエリィのところに届けに部屋を出ていった。 「ねぇエルちゃん、あたし思ったんだけどさ」 「何ですか?」 水を飲み、幾分か回復したシャニカが軽く右手を上げる。 「エルちゃん今召喚使えたりしない?」 「あ、はい、使えますけど…」 リエルがそう答えた途端、シャニカはバッと勢いよく立ち上がると、リエルの手を取った。 キラキラという言葉が似合いそうな程目を光らせているシャニカに、ロイが呆れ顔で聞いた。 「シャンディでも呼ぶ気?」 「そうそう!いいよね?エルちゃんっ」 「…熱い風が通り過ぎるだけだろ」 ロイに相づちを打ち再びリエルに視線を向けるシャニカに、ヨシュアがツッコむ。 だがかなり疲れているのか、水を飲んでもいつもの様に切れ味は良くない(シャニカ談) |