「ログウェイ!どうしたの!?」

「ロ、ロイ…!?な、なんでもないわ!」

「嘘つけっ!!だったらこの壁の破片は何なのさ!?」

エリィの元へ着くと、ロイはすぐさまエリィの安否を確認した。
特に怪我はないようだ―――彼女には。
その代わり、壁はもう悲惨な事になっている。
所々焼け焦げたタイルが床に落ち、使っていたナベは黒焦げになっていた。

「何なのって…普通に料理をしてたのよ」

「これのどこが普通なのさ!?」

「し、仕方ないじゃない!私は普通にやったのよ!」

必死にタイルの破片をかき集めながらロイに反論するエリィ。
何をどうすればこうなるのか。
ロイは意識が遠くなりかけた(ような気がした)。

「…で、何してたの?」

「肉を炒めてたのよ」

「あ、そう」

「………」

やっぱりそんな事か、と少しため息をつくとロイは黒焦げになったナベをゴミ箱に勢い良く投げ捨てた。
ゴミ箱の中に野菜の残骸があったのはこの際気にしない事にしよう、うん。

「ログウェイ、もう料理やめよう。潔く諦めた方が絶対いいよ、保証する」「…嫌よ…私も何か特技を作らないといけないわ!」

「いや、ある意
味その諦めない精神が特技だと思うよ」

料理をする理由さえあやふやになって来ている事ももう気にしない事にしよう。
少し物悲しくなって来たのもあえて気にしない。
それ以外の得策はない。
あったら聞きたい。
寧ろ是非とも教えて欲しいものだ。
…最近こんな事考える事多いな。
と心の中でよく分からない考えをまとめると、ロイはまな板の隣に置いてあった材料を全て没収した。
やはり一人で4人の料理を見ることなど無謀なのだ。
出来る訳がない。
出来たら神だ。
崇めてやる。
またよく分からない考えをまとめながら、ロイは自室に向かった。
―――後ろからエリィの何か言っている声が聞こえるが、振り返りはしない。
もう、嫌だ。












「…どうだった?」

「聞くの?そんな勇気あるの?尊敬するよアルベル」

自室に戻るとすぐさまネフスが声をかけるが、ロイはそれにひきつった顔で適当に答えベッドに顔を埋めた。

「…ダメだったか」

「やっぱ無理か…流石のロイでもあの4人はな〜…」

ヨシュアとマナロスが哀れみの目を向けるが、ロイはそれには気付かず違う事を考えていた。

[ロイ君の長〜い一日。]

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