「はは…あはは…っ」
気の抜けたような笑い声。
その瞳は虚ろで、体はフラついている。
少年は笑うのをやめると、プルプルと怒り震えだした。

「…どうして…どうして僕がこんなことやらなきゃいけないのさあああああ!!!」












小鳥のさえずる、うたた寝しそうになるほど穏やかな朝、その元凶は起きた。

「「「「「「「…お願いがあるのですが」」」」」」」

「なんで皆して敬語なのさ…」

突然部屋に来たと思えば、突然頭を下げ、突然敬語で頼み出す仲間達を、疑わしそうに見るロイ。
リエルやネリアならまだ口調も分かる。
だが、全員がこの口調となると、かなり厄介な用件という事は間違いないだろう。

「…頼むロイ!女性陣に料理を教え「嫌」いや、ここで引き下がる訳にはいかな「絶対嫌」頼む!いい加減まともな料理を「死んでも嫌」ロイしかいないんだ!だから「嫌だって言ってるでしょ」ロイ!!」

「嫌なものは嫌だっ
てば!というか僕がやってどうにかなる問題でもないでしょ!!」

頼み続けるヨシュアに容赦なくロイが言葉を浴びせる。
睨みつけている事から、かなり嫌がっている事が分かる。
ロイの言う通り、ロイが何かをしたところで、リエル、ネリア、シャニカ、エリィのあの料理を直す事は無理だろう。
ならば何故突然頼んできたのか?
理由は、ネフスから説明された。

「実は、今日の料理当番のリエルがいい加減ハンネスの料理を覚えたいって言い出してな…それに他の3人が便乗したんだ。流石に俺達じゃ手に負えなくてな…」

「レネイゼルはともかく、アルベルとデネレードの2人でも無理だったんでしょ?だったら僕一人じゃ無理に決まってるじゃん!」

ロイが堪えきれなくなり叫ぶ。
だが見つめてくる期待の眼差しには、流石の彼も折れた。

「…分かったよ!やればいいんでしょ!」

その瞬間、彼は厨房に引きずられていった。

[ロイ君の長〜い一日。]

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