綱吉に甘える女の子



「ねぇボスぅ?」
「なんだよ甘えた声だして」
「‥ぎゅーして」
「ん、ほらおいで、ぎゅー」
「ぎゅー」


ボスがデスクから離れて、わたしはボスのひざの上におじゃまする。
ぎゅう、と腕をボスのからだにまわし、深く息をした。
ボスのワイシャツからはお洗濯の匂いとかすかな香水の匂い。
この匂いに包まれていると安心する。


「今日はやけにあまえんぼだなぁ」
「んー」


あたまを撫でられる感覚がひどく気持ちいい。
猫のようにのどを鳴らしたくなる。
嬉しさを伝える術をよくしらないから、なんていえばいいかわからないけど、
ボスの腕はわたしの背中に廻されていて少しだけ力がこもっていた。


「ボスー」
「んー?」


ボスの身体からくぐもったボスの声がして、それが少しだけおかしくて笑ったらボスにどうしたって聞かれた。


「なんでもない」
「そっかー」
「うん、なんでもないよ」
「なまえー」
「んー?」
「ぎゅー」
「ぎゅー」


ボスは腕にさっきより力をこめて私を抱きしめた。
あったかくてやさしい私だけの居場所。




ちしま