ロン毛と彼女 イエス
わたしはいま、世界中の人の幸運を背負っているように思えてしかたがない。憧れの、憧れの人が目の前にいらっしゃるのだ、興奮と感動で身体が震える。ああどうしよう、こんなチャンス一生に一度あるかないか、いや、ないだろう、しかし今現在目の前にいらっしゃる彼は本物に違いない。
声をかけたら迷惑だろう、と、思うのにこれを逃したら一生後悔するに違いない、夜も眠れないだろう、ごめんなさい、わたしはエゴに走ります。
「ろ、ろ、ロン毛さん!」
「‥‥アーハン?」
な、な、な、生ロン毛さんだああああああ!どもってしまったけど、通じてる!やっべまじジョニーだジョニーデップだあああ、えっえっかっこいい!顔ファンってわけじゃないけどかっこいいものはかっこいいんだからしょうがない!て言うかキャラちがう気がする!なんかイケメンだ!
「あの、あのっ、だだだだ大ファンですっ」
「‥‥アリガトゴザイマース」
どうして片言なんだろう、あっこれもギャグなのかな!うわあああ憧れのお人を目の前にしてわたしはさっきから口をぱくぱくさせるだけで何もすることができない。うう、もどかしい‥!
「あの、えっと、あ、握手してくださいっ」
「アハーハ、よ、よろこんで!」
よろこんで、よろこんで?よろこんでだって!ロン毛さんやばい。手おっきいんだなあ、!わたし手汗だいじょうぶかなあ、しんぱい。おお、意外と手が大きいことが判明しましたああああ生きててよかったもう一生この手洗わないとか言って洗うんだろうけどこのぬくもりはプライスレス!一生心にやきつけておこうと決意しました。
「ええと、ええと、」
うわあああ緊張して何も言えないいいい、なんか気のきいたことのひとつやふたつ言えたらいいのにわたしのばか!わたしのくちのばか!ぱくぱく金魚みたいだ。結局月並みなことしか言えなくて、
「が、がんばってくださいっ!おうえんしてます!」
「あ、アハハハハ、うん、うん、ありがとう!相方にも言っとくから!」
わあああ、突然フレンドリーになられた!あ、パンチさんにも伝えてくれるんですね、!ほんとうにおやさしい人だとわたしは感動した。これは今よりももっともっとパンチとロン毛の布教を進めなくてはいけませんなとひとりガッツポーズで燃えるわたしをロン毛さんがあたたかなまなざしで見送ってくれたのでした。
ロン毛と女の子
彼のジョニーはほんとイケメン
ちしま
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