恥ずかしマテマティカ 榛名

榛名ってまじ信じられない。なんであんなに横暴なのわがままなのばかなんじゃないの?さっきも目会った瞬間にブースって言われたし、ええブスですよかわいくもないことは承知しているが榛名に言われるとさらにむかつくっていうか!榛名むだにイケメンだから余計いらっとする。ちくしょう。ブスで悪かったな。

「秋丸もあんまり甘やかさないほうがいいよ、あいつつけ上がるだけだし」

教室で秋丸相手にぼやいてたら「いたっ」殴られた、しかも教科書の角で!女相手に何しやがるんだこいつ。ほんとむかつくな。

「なんなの!痛いでしょうが!」
「あっわりィ、気付かなかったわ」
「‥‥(豆腐の角にあたまぶつけますように)」

榛名はそのままロッカーに向かう。秋丸は困ったように苦笑し、いつものことだから、と言う。なんだか納得できない。秋丸くん優しすぎるでしょ、榛名と大違い。

「何見てんだよ気色わりいな」
「‥‥(明日バナナで足滑らせないかな)」

次の授業の準備でもしようと思って机をあさるけど、あれ、おかしいな、数学の教科書が、ない、かもしれない。時計の針は授業開始1分前を指していた。隣のクラスに教科書を借りにいくのは難しそうだ。となると、

「‥‥榛名くん、お願いがあるんだけど」
「ああ?」

隣の席の榛名くんに教科書を借りるしかないわけで。

「さっき俺の悪口聞こえたような気がすんだよな」
「ええっひどいねっ!こんなにかっこよくて素敵な榛名くんの悪口言う子なんているんだねっ」
「‥‥(こいつ‥)」

なんだかんだ言って榛名はやさしいから机をくっつけて教科書を見せてくれた。うんうん、持つべきものは友達だよね。榛名の教科書の端っこにうさぎを書いてあげたら榛名に叩かれた。いてっ、「そこで夫婦漫才してるはるのと榛名、これ解いてみろ」榛名のせいで指されたんだからね。数学意味わかんない!


恥ずかしマテマティカ


ちしま