しろいよる 筧


筧くんの第一印象は、おっきいなあ、で、筧くんのわたしの第一印象は、小さい、だったらしい。べつにわたしの身長はちいさいわけでもないし、おっきくもないけど小さいって!筧くんからしたら女の子はみんな小さいよ。きっと。


「手もおっきいね」
「‥お前がちいさいだけだ」


手のひらをあわせただけでも違いがわかる。大きな手のひら。練習、いっぱいしているんだろうな、ささくれとか肉刺とか、いっぱいある。がんばってる証のてのひらは、わたしがぎゅってにぎると小さな力でにぎりかえしてくれる。無言でぎゅーってして無言でぎゅうってされるからなんだかむしょうにはずかしくなって、照れてしまう。


「どうした」
「なっなんでも、ない」


ぱっと手を離そうとしたらはずれなくて、さっきよりも少しだけ強い力で手を握られている。うう、とれない。


「‥‥」
「‥‥」


おとなしく筧くんのとなりに座っているけれど、手をつないだままだからかすごくすごくはずかしくて心臓がばくばくする。だけど、沈黙が続くけど、筧くんとのこの時間はすき。落ち着く、。


「筧くん、すきー」


呟いたひとことに右手がゆれる。




しろいよる


ちしま