メロウメロウ 佐伯


さえ、って呼んだだけなのにむだにさわやかに振り返られてちょっとどぎまぎ、する。さえってきらきらしてる、いつもいつも。くもりの日なんてないみたいにきらきら、きらきら。ふしぎ。


ってななくさが言ってたよ、と亮がくすくす笑う。きらきら、きらきら、ねえ。俺は別にひかってるわけでもないしさわやかでも、ない、と思うけど。ななくさってお前にピンク色のフィルターかけてるよね、と言われてなるほどなあと思った。そう、よくみすぎている。ななくさは、俺を。


さえっていつもやさしいのね、って笑うけど、べつに誰にでもやさしいわけじゃないし、ななくさが男としゃべってるのをみるとそりゃあいらっとするよ。ふしぎなことにさ、男じゃなくてななくさに。ほんとふしぎ。俺ってこんなに心のせまい男なんだよ、ななくさが思っているほどさわやかでもなんでもない。ふつうにすけべだし。ななくさとちゅーだけじゃなくてあっちもこっちもしたいって思うし。俺だって男だもん。それに、束縛したい、し、されたい、。されたいのかっていつも驚かれるけど、縛って縛られて、って、素敵じゃないか。俺はななくさのこと、誰にもみられたくないくらいあいしてるし、ななくさにもそれくらいあいされたいんだ。むずかしいけど。


「だめだよ、ななくさ。俺をフリーにしちゃ」


どういうことー、とななくさはけらけら笑うけど、俺はいつだって本気でまじめだ、。嘘も冗談もいわない。嘘。冗談。俺はななくさが思っているような男じゃないんだ、よ。ほら、いまから証明してあげる。きらきらしてるなんて、おもえなくなるよ。きっと。お前と会う日は、いつだって台風だよ。理性とかね、おさえるの大変なんだから。ほんとに。セーターのしたはそんなにうすぎとか、はんそく。ななくさはまたけらけら笑って、


「じゃ、にがさない」


首に細い腕がまきついて、俺をしばりつける。からんでからんでほどけなくなっちゃえばいいのにな、と思ったけどそしたらななくさのことだきしめられない。だきしめられるのもすきだけど、だきしめるほうがすきなんだ、俺。
いっぱいちゅーしてやる。





メロウメロウ




さえさんハッピーバースデー!

ちしまふうろ