きみのて タカ丸


たかまる、なんか、におう。


愛しい愛しい彼女がまっすぐに目を見つめながらそんなことを言うものだから俺のハートがぱきんぽきんと音をたてた。そんな、俺って、くさい、の、か。


「あっごめん、違うの、手がね、」
「て…?」


わたわたしだした彼女は俺の手を取って鼻先に近づける。わ、息がかかるよー。くすぐったい。すん、と彼女の鼻がなった。


「あ、パーマ液のにおいだ」


そう言われて、やっと合点がいった。今日はね、パーマを注文するお客さんが多かったんだよ。そうだったんだあ。不思議な匂いだよねえ。


「タカ丸、あたし、タカ丸の匂い、すきよ」


真っ赤な頬をしたななくさはりんごみたいで、もう、めちゃくちゃかわいい。ななくさの頬に手を這わす。そしたら俺の手の上にそっと手を重ねて目を閉じた。え、ちゅーしたい!ちゅーしても、いいかな、これは。


「タカ丸の手、すき」


だって、大好きな女の子にこんなこと言われたら、さあ。


「俺のことは?」


って意地悪く聞いたらタカ丸のだから、好きなんだよと笑う彼女にキスをした。



きみのて



ちしまふうろ