スロースリープ ワンカ
ワンカさまはいつも太陽がお仕事をやめる時間になってからようやく目を覚ます。おはよう月明かり、なんて、星のひとつすらみえないんですけど!
「ワンカさま、もう夜ですよ、わたしはいまから寝たいのです」
ワンカさまはえっなにそれしんじられなーい!みたいに驚いて口元に手をやった。うう、ばかにされている気がする。ばかにしてるんだろうけど。
「いいですかワンカさま、何度も言っておりますがわたしは普通の人間です」
「僕も人間さ」
「つっこみませんよ、つっこみませんよ、ですから、普通の人間は朝起きて夜寝るのです、暗くなったら寝る時間なのです、わかりますか?」
「わお、なにをいっているんだい?いまはこんなに明るいじゃないか」
「それは電気をたくさん使っているからで、エコ的にも環境にもよくないです、夜はまっくらなものですよワンカさま!」
だめだ、ワンカさまには常識は通じない。ワンカさまはどうでもいいといったふうに肩をすくめて、「でももう寝られないよ」さっき寝たもん。もうだめだこの人。
「あたりまえです、さっきまで寝てたらだれだってねむれませんよ」
「えーだって君が言ってるのは今からねて起きたら朝で仕事をしましょうってことだろ?」
「‥なんか違うんですけど、まあいいです、今寝たら次起きたら本物の朝です、太陽さんおはよう、の、朝ですから。それじゃあ今日はもういいですねてください。わたしも寝ます。おやすみな」
「ちょっと待ってよ。僕に1人で寝ろっていうの?」
「‥はい?」
まくらのシーツをにぎりめそめそと泣きマネしだすワンカさま。なぐっちゃだめだなぐっちゃだめだ、って、え。ぽすん。どさっ。
「‥念のため聞きますけど、眠るんですよね」
手をひかれて倒れこんだわたしにワンカさまがおおいかぶさる。なにこれあかずきんちゃん?ワンカさまはおおかみ?え?え?
「うーん、そうだね、(ちょっと運動したら)眠れるかと思ったんだけど」
「聞こえましたよ聞こえましたからねワンカさま、運動って完璧セクハラじゃないですかこのやろ、わたし断固拒否させていただきますよだからどーいーてーくーだーさー、いっ!」
キーン☆と良い音がしたような気がしなくもない、上司だろうと恋人だろうと人のいやがることはやってはいけません、ということで実力行使ってやつです。男のスイッチをきったら、
「あらワンカさま、もうおやすみになってるじゃないですか。お疲れだったんですねえ。それじゃ、電気は消しておきますね。おやすみなさい」
バチコーンとウインクを残してワンカさまのお部屋をあとにした。明日目を覚ましてくれるかな。ついでにけったこと忘れてくれるとうれしいんだけど。
原作映画ごっちゃです、呼び方はウォンカさま→ワンカさま
ワンカチョコは神の食べ物‥!
ちしまふうろ
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