つまさき 鳳

 うわああああなんてかわいいこ!きらきらと輝くまなざしは宍戸くんのことだけを一心にみつめていて、その輝きには一点の曇りもみつけられない。ふわふわの髪の毛は風にさらさらとゆれているし、なによりも、なによりも、サーブを決めた瞬間のあのガッツポーズ!うれしそうなかお!わたしはこの世の春をみました。天使を見つけてしまいました。


 わたしの天使、もとい、おおとりちょうたろうくんは、テニス部の二年生で、強豪ぞろいの氷帝テニス部で、レギュラーを勝ち取ったふわふわなのにやればできるというか、とても、すごい子のようで、こわいこわいとおもっていた宍戸くんも、鳳くんの話のときはさわやかな笑顔をむけてくれるのだから、鳳くんてあいされてるんだなあと思った。そうだよねあんなにかわいいらしい子だもんね、愛されるのは当然、ジャスティスですよね!わかります。


「宍戸先輩っ」


 3年の教室に2年生がやってくることってめずらしいんだけど、鳳くんはべつ。むしろまた来たか、みたいななまぬるい空気が漂う。うわああらためてみると犬みたいだなあ鳳くんて。しっぽがみえる気がする。あ、あ、あ、わたし死んでもいい。あのきらきらおめめと目があってしまいました。なにこれ今日の占い何位だったっけそこまでよろしくなかった気がするんだけどもう今日一位だよ完璧一位のラッキーデーだよテレビみてないけど!あろうことか鳳くんはふと目があっただけのわたしににこりと微笑んでくれたのだった。うう、眼福。そしてそして、


「はるの先輩、ですよね」


 きゃー声も素敵!と初めて間近で耳にする彼の声に感動して内容がよくわからない、はるの先輩ですよね、って、名前覚えてくれているのですかああ!


「はははは、はいっそうですっ」
「お前なんで敬語なんだよ」


 宍戸くんに笑われてもなんでもいいです、敬語だろうとなんだろうと!鳳くんも笑うのでわたしも笑ったらおもしろい人ですねとふんわり笑われた。もうわたししんでもいい。どうしてそんなにかわいいの!


「宍戸先輩から聞いてたんです、先輩のこと」


 えっなにそれ宍戸くんそれわたし聞いてないよそりゃ言わないでとも言ってないけどそれどうしたらいいのわたし変態な先輩と思われてたりしないかなどうしようきゃああっててんぱってたら鳳くんがまた笑った。


「俺、いつも、試合見に来てくれてるきゃっきゃした先輩は誰ですかって聞いたら、きっとはるの先輩だって、教えてくれて」


 しっ宍戸くんありがとうへんなことはいってないんだよねそうだよね信じるよ、そしてわたしの名前をだしてくれてありがとう。わたし宍戸教にはいってもいいくらい感謝してる。今度ポッキー買ってあげるからねええ!鳳くんはぽんぽん爆弾をなげてくるので防御しきれません。だけどきゃっきゃってなんだわたしはそんなにはしゃいでいるのが見えてたのか。


「俺、先輩のこと、もっとしりたい、です」
「えっ、あっ、はいっ、?」
「先輩に、俺のこと、もっとしってほしい、です。宍戸先輩のくちからじゃなくて、いくらでも、おしえてあげます、から」


 かみさまわたしはゆめをみているのでしょうか、ふわふわと空の上を歩いているかのような錯覚にみまわれつつ熱をもっていくほっぺをおさえることしかできませんでした。あまりにもびっくりしすぎてつまさきしか目に入らなかったから、鳳くんもまたぴんくいろのほっぺをしていることに気がつかなかった。宍戸くんは、そんなわたしたちをあきれがおでみていたわけです、。




つまさき



ちしまふうろ