むしゃむしゃ リーマス




くらいぐろいくらい
お肉 食べちゃうよ

だいじょうぶ?
































目が覚めた時には彼女はすでに死んでいた。
僕が、僕が殺した。肉を食らい、内臓を食らい、彼女のすべてを食らいつくした。


きらきらと光を宿していた瞳はもう暗闇、どろりとした液体でおおわれている、もう太陽はみられないね。僕の顔もみることはできないのか。僕を写すことはなく、ただ闇が広がる。君は僕を網膜に焼きつけたまま死んだ。


見ていられないほどの彼女の、肢体はむせかえりそうなほどの血の匂い、肺がまっくろにそまる。くるしい、くるしい?僕が?何を言っているんだ、ひとごろしのくせに。彼女は僕の恋人、食料?たべもの?君はしぬまぎわもうつくしかった。きれいなこえをあげてさいごにリーマスと。のこして。さいごに。ああ。


リーマス、と朗らかな声で僕を呼ぶ声ももう聞こえることはない、だって声帯がないんだから。僕は彼女に名前を呼ばれるのがすきだった。彼女もまた、僕の声がすきだと言ってくれたのに、もう僕も声は聞こえていない。どこかで僕を見ていてくれるかい、それとも、君は僕を憎むか。恨むか。僕は僕を恨んでほしい。一生憎んでいてほしい。僕はわがままだから君はずっと僕を見ていてくれなくちゃいやだ。君を食べてもなお、僕は満たされない。まだ、もっと、君がほしい。からだが君を欲している。


君を食べた。
本能で食べた。
食べたかったから食べた。
夢中で食べた。
おいしかった。
ぺろりと食べた。
人の肉。
君だからおいしいの?
それとも人間はみんなおいしいの?


どうしよ。





ちしまふうろ