わたしだけ 幸村


「せーいち」
あのね、すごく、すごおく、すきよ。
精市に抱きしめられる瞬間がたまらなく好きだ。お砂糖みたいに甘くて、ふわふわしている精市の腕のなかは溶けてしまいそうなほど、心地よい。
ゆるゆると精市の背中にわたしの腕を回す、見た目は華奢なのに、いがいと筋肉ついてるんだよなあ。
これからね、いろんなことがあると思うの。でもね、どんなことがあってもわたしは精市の隣にいたい、離れたくても離れないんだからね、来年も、再来年も、ずっとずっと、いちばんにお祝いするのはわたしだけ。
「お誕生日、おめでとう」


ちしまふうろ