北伊と孤独
私は死なない。
そう、死なない。
人が焦がれた不老不死である。
何百年も、私はずっとこの世界で生きてきた。
人は私を罵り、卑下し、そうして死んでいった。
死なないからと言って『国』でも無く、国では無いから『人』でもない。『人』と『国』は常に共存し、共生し、共に有り同一だ。
私は違った。
人でも国でも無いのに私の身体は朽ちることを知らなかった。
友が出来たことも、恋人が出来たこともある。
皆、年老いて、あるものは安らかに、あるものは全てを忘れて逝ってしまった。
戦争で死んだ者もいる。私は、『国』に会ったことが無い。
長い時を生きる彼等なら、少しは私の心を理解してくれるだろうか。
そう考えても、私はまた否定されるのが怖かった。
そんな時に、あの子に会った。
白いふわふわした服を着て、穏やかな、見ていれば幸せになる、そんな雰囲気を纏ったあの子に。
『おねぇさん、どしたの?どこか、いたいの?』
『…居場所が、ないんだ。ずっと、いられる場所が、』
『おうちなくなっちゃったの?』
『……』
『じゃあ、ぼくんちくる?』
『……きみの、?』
『うん、たべものはおいしいし、たのしいし、みんなやさしいよ!』
そう言って柔らかく笑ったあの子を、私は一生忘れない。
そうして、私は、あの子、イタリアに救われたのだ。
------------
続かないよ!
[*←] | [後#]