good bye my lover



「ミッチ!!」

貴方にそう呼ばれるのが好きだった。
貴方の笑顔が好きだった。
弟のように可愛がってもらっていたから。
その関係に甘んじていた。
気持ちを伝えられなくても、側にいられたらそれでいい。
そう思っていた。
そんな甘い思いは打ち砕かれた。

「ミッチ、あのな、俺……戒斗と付き合ってるんだ。」

「え…、」

「引くよな…、ごめん、忘れていいから!」


引きつった笑みに赤くなった目元。
泣く手前のその顔。

やめてほしい。そんな顔をしないでほしい。
貴方には笑っていてほしいんです。

「引いてなんかいませんよ。驚いただけです。」

ちゃんと笑えているだろうか。
声は震えてないだろうか。

「…ありがとな!!ミッチ!」


僕の台詞に安心したのか此方に笑顔を向ける。
好きだったその笑顔が他の人を思ってのものだと思うとどうしようもなく苦しくて切ない。

「あ、じゃあ俺そろそろ行くわ!またな!」



恋人の元へと向かったのであろう紘汰さんを見送る。

側にいられたらいいなんて嘘だった。
紘汰さんの隣にたっているのはいつだって僕だったのに。
その場所が奪われたのが悔しくて仕方ない。

一つ涙が落ちた。

明日からはまた笑えるからいまだけは泣くことを許して下さい。

好きでした、貴方のことが。
誰よりも。


「さよなら、僕の初恋の人。」









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