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佐助との生活が始まって一週間。
この一週間佐助の身の回りのものをを整えるために有給をとった。

服も買ったし、日用品も揃えた。
会社内にある保育所に入れるように手配もしてあるから今日から仕事に行くつもりだ。

問題は佐助。

一週間たっても此方に心を開いていないのか、必要最低限のコミュニケーションしかとろうとしない。
挨拶はきちんとするし、こちらの問いかけにも応える。
ただそれだけ。

両親を一度に亡くして知らない人の家に連れてこられたのだ、仕方がないのかもしれない。

もう少し喋ってくれたら楽なのだが。
保養所で同年代の子と接してたら何か変わるかもしれない。
子育てをしたことがない俺には、もうどうしたらいいかわからなかった。
子育てのプロの保育士に任せるとしよう。
事情は全て話してあるから上手くやってくれるだろう。

「佐助。今日から俺は仕事にいく。昨日話した通りお前は会社の保養所で俺の仕事が終わるのを待っていてくれ。」

「………あの、」

「ん?どうした。」

此方を見上げて何か言いたそうにしている佐助。
膝を折って目線をあわせる。
こうやって佐助から話しかけてくるのは始めてのことだ。
希望があるなら出来るだけ叶えてやりたい。

「……いえにいます。ひとりでだいじょうぶです。」

「……そうはいっても、俺も帰りが何時になるかはわからないし。一人で置いておくわけにはいかない。」

「でも……、」

「……とりあえず今日は保養所にいてくれ。理由は帰ってからきこう。」

「……うん。」

不服そうな顔をしていたが、押し問答している時間はない。
佐助の手をとり家を出て会社に向かう。
会社までは車で20分。

「何か食べたい物はあるか。」

ご機嫌とりも兼ねて晩御飯は好きなものを作ってやろうとおもったが、
佐助は首を横に振っただけだった。

無言のまま会社に到着し、保養所にむかう。
「失礼する。」

扉を開けると既に数人の子どもが遊んでいた。
此方に気づいた保育士が近づいてくる。

「はい。あら、片倉さん。そういえば今日からでしたね。そちらの…?」

「あぁ、佐助だ、ほら。」

「……こんにちは。」

促してようやく挨拶したものの、愛想はなく、すぐに俯いてしまった。

「よろしくお願いします。」

「はい。責任もってお預かりいたします。佐助くん此方に。いってらっしゃいませ。」


今朝の佐助が何を言おうとしていたのか
気がかりではあったが、
保育士の笑顔に送り出され職場に向かった。


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