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此方に心を開こうとしない佐助の手を引いて自宅に帰る。
佐助は俺の同僚の息子だ。
今迄会ったことはなかったが。
そんな佐助を引き取ることになったのは、同僚が交通事故で死んだから。奥さんも共に。
奇跡的に後部座席にいた佐助が助かった。
親戚付き合いがなかった同僚の息子を引き取る人はいなくて。
施設に預ける方向で話は進んでいたらしい。
俺も仕方が無いと思っていた。
同僚とはいえ他人の息子だ。
その人生を背負うことは簡単なことじゃない。
だが、葬式で佐助を見た途端その気持ちは変わった。
両親が突然いなくなり訳もわからない状態なのに、佐助は泣いていなかった。
普通なら泣きわめくだろうに。
泣けなくなっていた。
葬式にくる大人をただ見つめていた。
この子をこのまま施設にいれたら駄目だと思った。
理由はわからない。
そこから先は早かった。
この子を引き取る宣言をして、
荷物をまとめて。
そして今手を引いて歩いてる。


「晩飯は何がいい。」

「…………おむらいす。」

「そうか。作ってやる。」

「うん。」

案外素直な性格らしい。
なんとかやっていけそうだ。


これが俺たち二人の始まりだった。

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