募る想い。

一つ、また一つと。
積もりに積もったこの想い。

言うつもりはなかった。
隠し続けるつもりだった。
でも、知らない間に溢れてしまった。
しかも最悪な形で。


「ねぇ、俺の事どう思ってるの。」

「あ?巫山戯たこと言ってねぇで飯食え。」


勇気を振り絞って問いかけた。
返ってきた応えは望むものではなかった。
心が壊れる音がした。
貴方にとって巫山戯たことでも俺にとっては大事なことだった。

「わかった。じゃあ別れよう。」

「は……?」

「さよなら。」

別れを告げて席を立つ。
玄関に向かおうとしたら手を取られ引き止められた。
その手も勢い良く振り払う。
とりあえずこの部屋から出たかった。
二人の想いでの詰まったこの部屋から。

「離して。」

「佐助っ!!こっちをみろ。」



肩を掴まれ無理矢理小十郎さんの方を向かされる。
それでも顔を見ないように俯いてたら下から覗きこまれた。

「何があった。言ってみろ。」

その問いかけも首を横に振ることで答える。
声を出したら泣いてしまいそうだった。

「佐助。ほら、」

「っ、小十郎さん仕事ばっかだしっ、俺のことっ、どう思ってるのかもわかんないし…、ずっと…、ずっと…!」

「不安にさせてたな。悪い。」

優しい声に耐えられなかった。
一度声に出せば止まらない。
ずっと不安だった。
大きな会社で働いていてこれからの将来も約束されている小十郎さんと、
高校生で何も持っていない俺。
釣り合わないと。
捨てられてしまうのではないかと。
男同士だということも拍車をかけた。

「すき、すきだよ…、だからお願いだから。捨てないで…。」

「馬鹿。捨てるか、お前がいなきゃ駄目なのは俺の方だ。」


不安は消えない。
また不安になるだろう。でもこの人の温もりが側にあるかぎり大丈夫な気がしてきた。














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