チョコより甘いキスをして。


視線を感じていた。
向かいに座る年下の恋人からの視線をずっと。
何かいいたいことがあるのかと思って顔をあげれば視線を逸らされる。
仕事をするために下を向けば、視線を感じる。
先程からそれの繰り返しだった。
集中力はある方だがさ流石にこれだけ見つめ続けられると集中出来ない。

「小十郎さんってさぁ、大人だよね。」

「……突然どうした。」

「珈琲。ブラックで飲んでるから。」

その言葉に手元に置いていたマグカップに目を向ける。
その中に入っているのはブラックコーヒー。
元々甘いものが好きじゃないから砂糖もミルクもいれない。
それに比べて佐助はかなりの甘党だ。
コーヒーも砂糖とミルクたっぷりじゃないと飲めない質だ。
ブラックなんてもっての他。

「ブラックが飲めるから大人ってことはないだろう。」

「でもさ…。俺は苦くて飲めないし。」

そういって佐助は不満げに口を尖らせる。
俺との年の差を気にして早く大人になりたいのかもしれない。
そんなに焦らなくてもいつか大人になるのだが。
大人になりたくて仕方が無い年頃なのだろう。

「ならこうしたら飲めるだろ。」

コーヒーを口に含み、そのまま佐助に口づける。

「……っん、ふっ…、!?」

佐助の口にコーヒーを流し込み佐助が飲み込んだのを確認してから口を離した。

「…っはぁ、突然なに…!」

「キスしてりゃ苦いのも気になんねぇだろ。」

「……それは、そうだけど……。でもだからって!」

「もう一口飲むか?」

俺の問いかけに顔を赤く染めながら頷いた佐助に再び口付けた。









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