愛してるって言って。


偶には愛してるっていって欲しい。
不安になってしまうから。

「ねぇ……。」

「なんだ。」

「何でもない。」

俺様のこと本当に好きなの?
なんて聞けるわけない。
でも気になって仕方がなかった。
告白したのは俺から。
電話もメールも俺から。
デートに誘うのも俺。
今日だって暫く会えなくて寂しかったから無理やり家に押しかけた。
追い返されはしなかったけど、
歓迎ムードではない。
俺様が来てからずっとパソコンと向き合って仕事をしている。
話かけたら返事はしてくれるけど此方を見てくれない。

「……っ、」

小十郎さんのその態度に辛くなって来て。
目頭が熱くなってきた。
ここで泣くわけにはいかない。

「……帰るね。」

「あぁ……、っおい!?」

後ろから聞こえる声を無視して玄関に向う。
女々しい自分は見せたくないから。
いつだって格好つけていたいのだ。

「……っ何。」

「突然どうした。」

腕を引かれて引き止められた。

顔はあげない。
涙が溢れそうな顔を見せるわけにはいかない。

「何でもないよ。仕事の邪魔してごめん…。」

絞り出した声は少し震えていた。
その事に小十郎さんが気付かないわけなくて。
顎をとられて顔を上げさせられる。
俺の顔を見た小十郎さんの顔が驚きに染まる。

「何で泣いてる。」

堪えているつもりだったが涙が零れていたらしい。
自覚した途端止まらなくなった。
どんどん涙が溢れていく。

「言え。」

「……っ、俺のこと本当に好き?」

「あ?」

小十郎さんの眉間に皺がよる。
あぁ、聞かなければよかった。

「ごめんっ…、忘れていいから……。」

「好きに決まってんだろ。」

「……ほんとう?」

「……柄じゃねぇからな。あんまり言わないが、信じろ。好きだ。佐助。」

また涙が溢れ出す。
今度は嬉し涙が。
胸に広がっていた不安はすっかりなくなっていた。





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