君の隣に。


関ヶ原の戦い。
東軍の勝利でその戦いは幕を閉じた。
俺は……。
参加しなかった。
何を思って、何のために戦えばいいのかわからなかった。
でも……。

「お前を護って戦えばよかったのかな……。」

越後に届いた知らせ。
それは元親の死を知らせるものだった。
哀しくて悔しくて。
戦いに参加しなかったことを後悔した。
大切な人を護りたい。
それだけで十分だったのに。
それすらしなかった。
戦う術もあったのに。

「馬鹿だなぁ。」

涙が零れた。いつも涙を拭ってくれた人はもういない。
戦は嫌いだ。
俺から大切な人を奪っていく。

「慶次。これがお前に……。」

「……ありがと。」

かすがちゃんが持ってくれた文を受け取る。
何か言いたそうな顔をしていたけど、それを気遣ってあげる余裕はない。
差出人もなにもない文を開く。

『ありがとう。お前と出逢えて良かった。またいつか何処かで…。』

見覚えのある字に隅に押された七つ片喰の家紋。
元親からの文だった。

「……もとちかっ…。」

涙が止まらなかった。
一つ、また一つと、文に跡を残していく。

「……またいつか。」

またいつか出逢えたらその時は最期まで君の隣にいよう。







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