星に願いを。



ほんの気まぐれだった。
今日は朝から流星群の話でもちきりだったから。
空を見上げてみようかなって。
ベランダにでて空を見上げる。
朝から快晴だったおかげて星は綺麗にでている。

「流れ星ねぇ。三回言ったら願い事叶うんだっけ。」

願い事。なんかあったかな。
信じてる訳じゃないけど、真剣に考えてしまう。
思い浮かぶのは遠く離れた恋人のこと。
転勤になって、学生の俺様はついていけなくて。
遠距離恋愛。
大丈夫だよって見送ったけど。

「さみしいよなぁ…。」

会いたくても会えないこの距離。
仕事だから仕方ないと思うけどさみしいことには変わりない。
夜空を見つめ続けるけど、一向に星は流れない。

「案外流れないもんだね…。」

諦めて部屋に入ろうとすると鳴った携帯電話。

「もしもし。」

『佐助。』

「小十郎さん?珍しいね。」

電話から聞こえてきた恋人の声。
平日の深夜に電話をかけてくるなんて珍しい。

「どうしたの?なんかあった?」

『いや…。今日は流星群だろう。
お前と星を見るのも悪くないかと思ってな。』

「小十郎さんって案外ロマンチストだよね。」

『悪いか。』

一緒に星を見ようなんて。
強面な顔に似合わずロマンチスト。俺様しか知らないんだろうギャップ。
そんな些細なことに優越感を感じてしまう。

『願い事は考えたのか。』

「んー。もう叶っちゃったから。」

『ほぅ?何を願ったんだ?』

「秘密。」

会えないのなら、せめて声が聞きたい。
叶えてくれたのは流れ星じゃなくて愛しい恋人。




.

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