君とキス。
何でこんなことになったのだろう。
ただの悪ノリだったのに。こんな気持ちになるならやらなきゃよかった。
「王様だーれだ!!」
「Hey.俺だ。」
「また政宗ー?」
「強運でごさるな!」
元親、慶次、政宗、旦那、俺。
いつものメンバーできたカラオケで始まった王様ゲーム。
最初はノリノリだったけど徐々にテンションが下がってきた。
というのも。
「ok.じゃあ2番と3番がキスな。
深いので頼むぜ。」
こんな感じで命令がエグい。
普段なら楽しめるし、俺様も似たような命令を出すだろう。
だけど…。
「2番…。某でごさる!!」
「3番俺だねぇー。」
名乗りをあげたのは旦那と慶次で。
嫌だ。だって旦那は俺の恋人なのに…!
ずっと好きだった。
ついこの間恋人になれた。
でも旦那は部活だし、俺はバイトだし。なかなか二人きりになれなくて。
当然キスもまだしてない。
……俺より先に慶次がキスするなんて。
「…絶対やだ。」
「佐助?」
隣にいた元親に声をかけらるけどそれどころじゃない。
立ち上がって慶次と向き合っていた旦那の腕をつかむ。
「な、佐助!?」
驚きの声をあげる旦那を無視して部屋を出る。
「っおい!どこに…。」
どこにいくのかなんてわからない。
ただ旦那と慶次がキスするのを黙って見てられなかった。
「佐助!……とまれ!!」
後ろからの声に足を止める。
「一体どうしたのだ。」
「ごめん。」
俺以外の人とキスしないでよ。
こんなこと言えない。いいたくない。
嫉妬、独占欲。
自分の中にこれほど強い感情があったなんて始めて知った。
この感情をどうしたらいいかわからなくて、後ろに立っている旦那をそっと抱きしめた。
「…佐助?」
「……うん。」
「うん、ではなくてだな…。」
「……旦那。好きだよ。」
腕の中の旦那が戸惑ってるのがわかったけど、離したくなかった。
この人は俺のものだって実感したかった。
「…まったく。」
飽きれたようにつぶやいた旦那の手が俺の背中に回される。
「珍しいな。お前が甘えてくるのは。」
「ねぇ、旦那。キスしていい?」
誰かにとられる前に。
俺が奪ってしまいたかった。
旦那の応えを聞く前に唇を奪う。
そっと触れるだけのキス。
唇に感じた旦那の温もりに胸が高鳴る。
「……やきもちか。可愛いことをするな。」
「うるさ……っ。」
照れ隠しの言葉は旦那からのキスで遮られた。
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