キスで語る愛。


秘密の恋人。
そんなことはわかっている。でも好きなんだ。毎日でも一緒にいたい。
溢れくるこの気持ちを抑える方法など知らない。
月曜日の一限、数学。誰もが憂鬱になるこの時間が俺にとっては幸せな時間だ。
何故なら数学の担当が俺の恋人でもある片倉先生だから。
告白は俺からだった。一目惚れして。それからずっと好きだと言い続けて、ついこの間オッケーをもらった。
でもそれ以来会ってない。いや、会ってるけど…。学校でだけ。
会話だって碌に出来ないしそれ以上のことなんてもってのほか。
俺だって年頃の男だから、欲ばかりが募っていく。

「………び!猿飛!!」

「っ何。」

「何じゃねぇ。今日提出のレポートどうした。」

「あー、忘れてた。」

机の横にたってる先生を見上げてへらっと笑って誤魔化す。
誤魔化されてくれないだろうなー。
眉間の皺が更に深くなる。

「何回目だと思ってんだっ!!」

「んー、2.3回?」

「10回目だ…。放課後俺のとここい。」

そういって教壇に向かう先生の背中を見つめる。
かっこいいなー。なんて。
課題をやってこないのはわざととかじゃなくて、聞いてないから。
授業中は先生を見るのに必死で授業が頭に入ってこない。

「放課後楽しみだなー。」

小さく呟いて再び先生を見つめた。




「失礼しまーす。」

数学準備室。先生がいつもいる部屋をノックする。
返事が返ってくる前に部屋に入った。

「お前なぁ。まだ返事してねぇだろうが。」

「いいじゃん。俺様と小十郎さんの仲だろ?」

「はぁ。」

呆れたようにつかれた溜息にびくっとする。
へらへらしてるけどいつも怯えてる。嫌われたらどうしようと。

「で、なんで課題やってこねぇんだ。」

「ねぇ。先生。俺のこと好き?」

「突然何言ってんだ。」

授業中と同じように眉間に深く皺が刻まれる。
不安なのだ。やっぱり。好きなのは俺だけじゃないかと。本当に付き合ってるのか。
これは賭けだった。

「馬鹿なこといってねぇ……。」

これ以上聞きたくなくて唇を重ねた。
そっと触れるだけのキス。
俺にはこれ以上の勇気はでない。

「…なんのつもりだ。」

「……好きだよ。好きなんだよ。」

「はぁ。」

再び吐かれた溜息に怖くなった。

「迷惑かけてごめん……。」

そのまま踵を返して部屋を出ようとしたら腕を強く引っ張られ、そのままキスされた。
少し空いていた隙間から舌が入ってきて口内を蹂躙する。
食べられる…。そんな気持ちになった。
優しさのないただただ激しい貪るようなキス。

「…好きだ。佐助。」

「…本当?」

「好きじゃなかったら生徒と付き合うか。」

「……ねぇ、先生。キスして。」

その台詞と共に唇に降りてきた温もりに幸せを感じた。









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