君の体温を感じて。
愛しい人を抱きしめて眠りたい。
そう思うのは当然のことで、それを拒否されるなんて思ってもみなかった。
「どうしてそんなに嫌がるんだ、三成。」
「暑苦しいからに決まってるだろう。貴様は人より体温が高いのだ。」
「でも儂は三成を抱きしめて眠ると冷たくて気持ちいいぞ!」
三成は儂とは正反対で人より体温が低い。
夏場は抱きしめて眠ると心地よいくらいに。
だから一緒に寝ようと提案したのだが。
「…儂と一緒に寝るのは嫌か?」
「…っ、貴様と寝るのが嫌なわけではない。暑苦しいのがいやなのだ。」
「ならこうすればいいだろう!」
エアコンの電源を入れて、設定温度を低くする。
普通であるならば肌寒く感じるくらいに。
「…寒い。」
「あぁ、だからこうすればちょうどいいだろう?」
「何を…っ。」
三成のうでを引っ張りベットになだれ込む。
そのまま強く抱きしめた。
「だから暑いと言って…、「部屋を寒くしたからな。暑くないだろう?」…っあぁ。」
「ふふっ、今日はこのまま寝てもいいだろう?」
「ふん、其処までいうなら仕方ない。」
口では文句をいいながらも、その手は儂のシャツをぎゅっと握っていて。
脚もそっと絡めてきて…。
「ふふっ。」
「何だ。」
「いや、今日はよく寝れそうだ。おやすみ。」
「……おやすみ。」
愛しい人が腕の中にいる。その幸せを噛み締めながら眠りについた。
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