キスの味。


いつもあいつからする煙草の匂い。
純粋そうな見た目、 まっすぐなその性格に似合わず幸村はヘビースモーカーだ。
煙草嫌いの俺の前で吸うことはないが、合間を見つけては吸ってるのだろう。いつも煙草の匂いをさせている。
そんな幸村と一緒にいたら嫌いだった煙草の匂いにも慣れてしまった。
あぁ、でも小十郎の煙草の匂いは嫌いだから、きっと幸村だけが特別なのだろう。
それだけ長い間一緒にいるのだと嬉しくなる。

「政宗殿…?どうか致しましたか?」

突然喋らなくなった俺を心配して幸村が顔を覗きこんでくる。

「なぁ。幸村。」

「…何でごさろう?」

「キスしてくれよ。」

幸村は一瞬驚いた顔をしたが、その後柔らかく微笑んで顔を近づけてきた。
目を閉じてキスを受け入れる。
優しく押しいってくる舌に自ら舌を絡めていく。
仄かに香る煙草の匂いと、舌に感じる苦味。
幸村の舌は口内を掻き回して離れていった。

「突然どうされたのですか。」

「いや、煙草吸いたくなった。」

「?煙草嫌いでござろう?」

「あぁ、でも幸村のキスなら大丈夫らしい。」

その言葉を聞いて嬉しそうに微笑む幸村に顔を近づけ、そっとキスをした。











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