愛の証。
いつも気になっていた、でも我慢していた。注意した所で鬱陶しがられるだけだろうと。
だか某にも我慢の限界がある。
彼はいつも体育教師らしくジャージを着てるが、その下のTシャツがよろしくない。首元がざっくり空いたデザインの所為で胸元も見えそうになっている。
開放的な彼によく似合うが、恋人的には問題だらけだ。
「長宗我部先生。ちょっとよろしいか?」
「あぁ。」
他のクラスの生徒と楽しそうに雑談していた元親に声をかけ連れ出す。
「どこいくんだ?真田。」
その問いかけには応えず、足を進める。
「…っおい!」
焦ったような声が後ろからかかるがそれにも応えない。
怒っているのだと示したかった。ここまでしなければ気づいてはもらえない。
この人は他人の変化には敏感のくせに自分に向けられる感情にはひどく鈍感だ。
元親を連れて来たのは人の来ない校舎裏。
某たちが恋人であるということは周りには言ってはいけない。
当然だ。自分たちは生徒と教師であり、それ以前に男同士だ。
この人は某のものだと。そう宣言出来たらいいのに。
それをすることは叶わないからせめて。
「どうした?…っ痛!?」
此方を心配そうに伺っていた元親を壁に押し付け、露わになっている胸元に口を近づけ強く吸いついた。
「何して…。んっ。」
口を離し胸元に赤く色付いた印を眺める。
「そんな所に跡つけんなよ!!見えんだろうが!!」
某が何をしたか理解した元親が騒ぎ出す。
「服をしめればいい話ござろう?
大体いつも肌蹴させすぎでござる。某とて嫉妬いたしまする。」
「……そうか。」
その言葉を聞いた瞬間顔を真っ赤にして照れる元親にそっと口付けた。
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