叶わぬ恋と知りながら。

恋をした。
その瞬間に失恋していた。
あいつがあの人を好きなことなんてずっと前から知ってたんだよ。
でも惹かれずにはいられなかったんだ。
優しい所。面倒見のいい所。手先が器用な所。見た目に似合わず女慣れしてない所。
数えきれないくらい好きな所がいっぱいあるんだ。
一番好きな所は笑った顔。
あの笑顔みると頑張ろうって気持ちが湧いてくるんだよね。
だからさ。ここ最近元気がないのが嫌で。笑って欲しくて。
でもどうすればいいかわかんなくて。
つい口走っちゃたんだよね。

「親ちゃんさー。辛くない?
伊達ちゃん好きでいるの。」

俺様の言葉に親ちゃんの顔が強張る。

「な…なんで。」

「目が追ってる。気づいてなかった?」

「…っ。だからどうした。」

「辛いなら俺様が慰めてあげるよ?身体で。」

驚きのあまり固まる親ちゃんを押し倒し、服を脱がしていく。

「何して…。」

「sex」

「はぁ!?何言って…っ」

文句を言っている口を口で塞ぐ。そのまま舌を差し込んで絡め取る。

「…っ、ふっ。」

「伊達ちゃんの代わりにしてよ。
俺様快楽主義だからさー。相手探してたんだよ。」

口を離し耳元で甘い声で囁く。
親ちゃんが乗るかはわからない。これは賭だ。
俺様の一世一代の賭。
最初から叶わぬ恋なんだこれくらいしたっていいだろ?

「ねぇ。しよう?いいっ…ん、ふぅ。」

俺様の台詞は親ちゃんからのキスで遮られた。

「誘ったのはあんただからな。
後悔すんじゃねぇぞ。」




それがきっかけだった。
正直一回で終わると思っていた。終わるつもりだった。
….でもあれ以来親ちゃんは俺様を抱く。
放課後学校ですることもあれば、休日家で来ることもある。
その間隔はバラバラで。それこそ溜まった時に俺様のことを抱くのだろう。
性欲処理。
自らが望んだことなのに、どうしようもなく苦しい。
……でも知ってしまったから。
親ちゃんの温もりを。
もう逃れられない。
これは罰なのだろう。
親ちゃんの弱みにつけこんだ罰。
この罰は甘んじて受ける。
だからさ。
貴方を想って、
貴方の温もりを求めて、
泣くことだけはどうか許して欲しい。

「…っ。ふっ…、好き…。好きだよ!!元親…!!」








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