恋の攻防。
六岡ちゃん相互記念。
お持ち帰りは六岡ちゃんのみ。
鳴かされたい、押し倒されたい。
思い切り貫かれたい。
そんな思いが駆け巡る。
熱い目線を相手に送るが鈍感天然なあいつは気づかない。
今だってほら…。
「政宗殿?お腹が空いたのでごさるか?」
「ちげぇ。」
いつだってそうだ。
こっちがどれほど真剣になろうとさらりと流される。しかも相手は天然だからタチがわるい。
こちらの欲望は高まるばかりだ。
どうすればいいのか。
幸村は童貞だ。だからこそ手を出せないのだと思う。
こちらは初めてではないのだから多少手酷くヤられても大丈夫なのに。優しい男だ。その優しさが今は憎らしい。
伝わらないのであれば無理矢理でも構わない。
「……幸村。」
「なんでござろ…っ政宗殿!?」
此方に笑顔を向ける幸村を押し倒し、着物に手をかけ、脱がそうとすると腕を掴まれ動きを止められた。
「おやめ下さい。政宗殿。」
「なんでだよ!!俺とあんたは恋仲だ!身体を重ねることになんの問題もねぇだろうが!!」
「それは…確かにそうですが…」
「それとも俺の身体じゃ不満だってのか!!」
「そうではござらん!!某は…!」
強く腕を引かれ体勢を反転させられる。視界に写るのは見慣れた天井と苦しそうに歪んだ幸村の顔。
「……幸村?」
「某は大切にしたいのです。政宗殿を。初めてではないのはわかっとおります。……それでも一時の感情に流されたくはないのです。」
「……俺は今すぐに抱いて欲しい。お前を感じたい。」
「はぁ。」
頭上から落とされる溜息に身体が強張る。
呆れられただろうか。はしたないと思われただろうか。
……それでも。
「……次の満月の夜。」
「え…?」
「政宗殿を抱きまする。」
「いいのか…?」
「……某とて男。そこまで言われて黙ってはおれません。」
その言葉に嬉しくなり幸村の背中に手を回し胸に顔を押し付ける。
「……覚悟しておいて下さい、政宗殿。某を煽ったのは貴殿だ。」
幸村の温もりに幸せを感じていた俺に、その言葉は届かなかった。
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