四時間目に体育なんて最悪だ。今日はなまえちゃんの当番の日なのに。陸上なんてしてる場合じゃない。ああ、あと十分で授業が終わるのは嬉しいけどその後着替えるというロスタイムができる。悶々とそんなことを考えながら百メートルを疾走していた。結果を記録し、体育教師の話を聞く。昼休みまであと五分。早く、早く、

「よしこれで終わりや、礼!」

その言葉と同時に一気に駆け出した。名前を呼ばれた気がしたが、そんなことを気にしている場合ではない。だってさっき保健室にいたのはなまえちゃん、なんで今日に限って早いんだ。しかも財前までいた、サボりか?締める。ぐん、とスピードがあがった、今なら浪速のスピードスターも追い抜ける気がする。保健室の窓の近くを通り過ぎようとしたとき二人の会話が聞こえてきた。

「白石部長から何度も聞いたことあるんですわ」
「そ、そうなんや」

……これはまずいんじゃないだろうか。考えるより先に体が動いた。

「それはもう鬱陶しいぐらいに……げ、」
「財前!!」

窓の桟に足をかけた俺の姿を捕えた財前は顔を歪ませた、失礼な奴だ。とりあえずなんとか阻止できたからよしとしておく。慌てて出ていった後輩を見送った。絶対に締めてやる。

「白石くん…?どないしたん」
「あ、や、なんでもないで!俺着替えてくるわ!!」
「?おん」

不思議そうに聞いてきたなまえちゃんに返事をし、さっさと着替えるため俺はまた走り出した。




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