「ジロー」

屋上の給水棟の裏を覗けばキラキラ光る金髪の彼。すやすやと気持ちよさそうに眠っているジローの名前を呼ぶ。頭を撫でていると欠伸が聞こえた。

「あれー…なまえがいるー……」
「おはよう。午前の授業終わったよ?」
「俺ずっと寝てたCー」
「いつものことでしょ」

はい、とジローに彼の鞄から抜いてきたお弁当を渡す。これは日課だ。跡部に命令されたこともあるけど、自分から進んでやっている。

「いつもありがとー!」
「ん、食べよ」

一緒にお弁当を食べる。ジローはまた眠くなってきたのか、お箸を口に銜えたままぼーっとしだした。

「寝るのは食べてからだよ」
「なまえ、お母さんみたいだCー……」
「あ、こら寝るな」
「おやすみー…」

ジローはお箸を置いて横になるとものの三秒で眠りについた。軽く溜め息を吐いて、彼のお弁当を片付ける。

「ほんと、よく寝るよね」

寝顔を見つめているとジローは小さく身動ぎ、何か呟いた。聞き取ることは出来なかったけど気にとめなかった。

「……なまえー」

聞こえた自分の名前に驚く。ジローを見るも起きてる様子はない。……寝言。なぜか嬉しくなった私はジローと同じように寝転び、目を瞑った。




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