息苦しくなって目が覚める。反射的に近くに置いている時計を見ればまだ四時前。起きても息苦しいのはなくならない。理由は明白、隣で寝ている裕次郎が思い切り私を抱き締めているからだ。 「裕次郎」 「…………」 「どうしたの」 「…………」 「苦しいんだけど」 そう漏らせば少しだけ力を抜いた。本当に少しだけ。裕次郎は私に擦り寄る……まるで犬みたいね。彼に背を向けているため顔が見えない。もぞもぞと腕の中で反転すれば裕次郎は私の胸に顔を埋めた。 「どうしたの」 「なまえがいなくなる夢んちゃん」 「私はここにいるから。裕次郎から離れたりしない」 「じゅんにか?」 「うん。まだ早いから寝ときなよ」 「おー……」 もともと眠かったのか裕次郎はすぐに眠りに落ちた。……私を抱き締めたまま。小さく溜め息を吐き、彼のふわふわの髪を撫でる。 「……そろそろ妹離れしてね、お兄ちゃん」 そう呟きながらも本当にされたら悲しいんだろうな、と思いつつ自分も目を瞑った。 |