今日は部活が休み。けど日直だった俺は、放課後に担任から仕事を頼まれてしまった。そのことを彼女であるなまえにメールで知らせれば「図書室で待ってるね」と返ってきた。帰宅部であるなまえはいつも俺の部活が終わるのを図書室で待っていてくれる。一度コートで待つように言ったが、断られてしまった。図書室からテニスコート見るのが好きらしい。

仕事というのは理科の道具を準備室に運ぶというものだった。しかし準備室は異常に汚く、いてもたってもいられなくなった俺は準備室を掃除することにした。少し遅くなってしまうが、きっとなまえならわかってくれるだろう。






「よし、これでええやろ」

ゴミ部屋と化していた準備室をなんとか綺麗にし終えたとき、準備室のドアが開けられた。開けたのは俺に仕事を頼んだ担任。

「おー、綺麗になったなあ!」
「……やられた…」

担任がニヤニヤしながら俺を見てきたことですべて悟った。彼はもともと俺に準備室を掃除させるつもりだったんだ。几帳面で完璧主義な俺は汚い部屋を見ると、片付けたくなってしまう。今回はまんまと担任にハメられたというわけだ。担任は溜め息を吐く俺の肩に手を置くと「ご苦労さん」と言って準備室を去っていった。もう一度深い溜め息を吐いた後、我に返った俺は慌てて準備室を出た。

階段を二段飛ばしで駆け上がりながらなまえに電話をかける。出ない。もしかして帰った?いや、その可能性は低い。今までどんなに部活が終わるのが遅くなっても、用事がない限り彼女は待っていてくれた。それに先に帰るときだってきちんと連絡を入れてくれる。じゃあ、なんで?とにかく階段を上る、上る、上る。三階の一番奥、そこに図書室がある。

「なまえ!」

乱暴にスライドドアを開けた。ガシャンという大きな音が響くも、俺を注意する者は一人もいない。それは俺のことを注意できる人、という意味ではなく、本当に誰も居ないのだ。もちろん、なまえも。…そんなはずがない。しかし図書室を隈なく探すも、人っ子一人いなかった。困惑する俺の視界に入ったのは、机上に置かれた一枚の紙。何気なく見てみれば、


彼女を返して欲しければ屋上に来い


なまえ、なまえ、なまえ…!図書室を出て再び階段を駆け登る。もっと早く動け俺の足!!最高速で屋上を目指す。重い鉄の扉の前に立ったときには息が切れていた。落ち着く間もなく扉を開ける。

「……」

また誰もいない。キョロキョロと辺りを見回したが人影はなかった。屋上を探してみる。

「?」

何か聞こえた気がした。耳を澄ましてみれば、俺の名前を呼ぶ声。フェンスに近寄り、下、つまりグランドを見てみる。と、

「「ハッピーバースデー!!」」

なまえとテニス部員たちがこっちを向いて手を振っていた。その近くにはテニスボールで書かれた『おめでとう』の文字。視界が歪む。ああ、俺、幸せだ。

さあ、グランドに降りてお礼を言おう。



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100414 白石おめでとう!
実は先生もグルだったり




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