さて秋になりました。ざっざっ。残暑も消えて大変過ごしやすくなり、夏の暑さはどこに行ったのかと思うほどです。さっさっ。朝晩なんかはむしろ寒く感じます。「うわあああああ!金ちゃんやめやー!!」暑いのも困ったものですがこれからどんどん寒くなると思うと憂鬱です。「あれ!?千歳のやつどこ行ったんや!」ちなみに私たちが何をしているかというと、

「ぎゃあああああ!」
「ちょっと謙也うるさい!」
「そ、そんなんゆわれたってなあ!」
「って、ぎゃあああああ!は!?え、なんで集めた落ち葉全部消えてんの!!」
「あんなあ、横ぴゅーって走ったら飛んでってしもてん!堪忍やでえ!」

ほんわ〜と笑う金ちゃんにほんわ〜となりかけたが、釣られている場合ではない。私たちはなんとしても落ち葉を集めなければならないのだ!そう、事の発端は部活が始まる前に遡る。






「は?落ち葉掃除?」
「せや。校長からのお達しでなあ」
「えー。めんどくさい」
「オサムちゃんやっといてや」
「だるいっスわ」

口々に文句を垂れる私たちにオサムちゃんは「ふっふっふっ」と笑い出した。正直キモい。そして懐に手を入れたかと思うとそこからあるものを取り出した。

「これが…目に入らへんのかー!」
「さつまいも」
「いも」
「いもやな」
「どう見てもさつまいもや」
「なんでそないなとこから…」
「いもー!!」
「これはな、ただのさつまいもちゃうねん。最高級のさつまいもや!校長から手伝う代わりにってもらったねん!どや!それでもやらんっちゅーんか!?」

答えは察しの通り。まあ要は餌に釣られたっちゅー話。うわ、謙也の口癖移っちゃった。金ちゃんが散らかしたのでもう一度最初から集め直す。ちなみにオサムちゃんは消えた。全く無責任な教師だ!まあ手伝う『代わりに』さつまいももらえるんだからオサムちゃんは当然なしだよね。

「なまえはん」
「師範?どうしたの?」
「もうええんとちゃうやろか」

え、と前を見るとこんもりと落ち葉の山が出来上がっていた。小春ちゃんが「なまえちゃんよう頑張ったわねえ」と頭を撫でてくる。一氏はいつも通りなので割合。さーて、それでは焼きいもと行きましょうか!

「はい。白石、マッチ」
「え、俺がやんの?なんで?」
「部長だから」
「関係ないやん!」
「ほんならワイがやる〜!」
「金太郎にマッチなんか持たせたら怖いわ。俺がやります」

そう言ってあたしの手からマッチをぶん取った財前は十本ほど一気に箱から出して、側面に擦り付けようとした。慌てて待ったをかける。

「なんすか」
「いやいや!なにしてんの」
「マッチに火ぃつけようとしてます」
「量おかしい!小石川やって!」

財前からマッチを取り返して小石川に渡す。財前は効率悪いとかぶつぶつ言ってたけど安全第一だから!小石川が「ほんじゃ火ぃつけんでー」と火のついたマッチを落ち葉に近づけた。メラメラと落ち葉を侵食していく火をみんなで見つめる。

「なあ小春、なんか声聞こえへん?」
「え?………ほんまやなあ。どっから聞こえてんのやろか」
「あっつああああああ!!」
「「ぎゃああああああああああ!」」

落ち葉の山が盛り上がり私たちは叫んだ。しかし大阪では珍しい独特の方言に全員が頭にはてなを浮かべる。

「なんばすっと!?熱いったい!!」
「千歳!?なんで落ち葉ん中で寝てんねん!」
「千歳の頭燃えてんでー!かっこええなあ!ワイもやーりーたーいー!」
「アホ!金ちゃん大人しくせんと毒手やで!」
「わああああ!早く誰か水、水ー!!」

ばしゃん。しゅううううう。師範が千歳に水をかけたおかげで火は消えた。けど落ち葉も濡れてしまったせいで燃やすのはもう無理だろう。しかも千歳のせいで落ち葉はまた散らかっている。そこへオサムちゃんが来て「なんやこれ!?」と叫んだ。皆さん、四宝寺は今日も元気です。てか焼き芋おおおお!!




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