亮とは幼馴染み。今まで彼がどれほど頑張ってきたかも知ってる。目の前にいるのは誰だろう、涙を浮かべながら必死に前を見据えているのは。私は知らない。こんな亮、見たことがない。

私が小さいころに髪をほめてから伸ばし始めた長い髪はバッサリと切られた。亮の横にいるのは私ではなく銀髪で長身の男の子(鳳といった気がする)。ああ、いつからそんな目をするようになったんだろう。私は知らない。知らないんだ。

近くにいたはずの亮はどんどん離れ、手を伸ばしても触れることなく空を切る。声をかけても届くことなくしゃぼん玉のように消える。追い掛けても差は縮まらない。どんどん、どんどん離れていく。

「はは、」

乾いた笑いが漏れた。今更気が付くなんて馬鹿みたい。彼が私から離れていかないとでも思っていたんだろうか。何て愚かなんだ。彼に伝えたらどうなるだろうか。

好き、だなんて。

こんなに辛いなら知らないままでよかったのに。頬を冷たい何かが滑り落ちた。




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