幼馴染み、それは相手に最も近い存在であって最も遠い存在でもある。特に私の幼馴染みは皆から憧れられるパーフェクト人間。よく「白石くんと幼馴染みでいいなあ」と言われるけど、何がいいのか教えてほしい。今だってこんなに近くにいるのに、

「なまえ、どないしたんや?眉間に皺寄ってんで」
「……なんもない」

目に入った蔵ノ介の手、綺麗な細い人指し指を握れば「なんや今日はえらい甘えるなあ」なんてケラケラ笑いながら私の頭をぐしゃぐしゃにする。そのあと優しく撫でて整えてくれるんだけど。

触れても伝わらない私の思い。所詮幼馴染みは恋愛対象にならないんだ。変われるなら変わってあげたい。

「こうやってなまえと帰んのも久しぶりやなあ」
「部活の休みが被んの滅多にないしな」

夕日を受け、優しく微笑む蔵ノ介。ああ……、彼の笑顔を間近で見れるのは私だけだと思うと変わりたくないかもしれない。なんて思うのはずるいのかな。

私の恋物語が進むことはない。




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