職員室から出てきた先生は私のクラスの担任だったようで、遅いから探そうとしていたところだったらしい。鼻血がなかなか止まらないため職員室で向かい合って座る私たち。

「いやあ、びっくりしたで。扉開けたら転校生が鼻血出して突っ立っとるんやからなあ!」
「ちょ、そんなに笑わないでください」

はっはっは!と笑う先生を止める術を誰か教えてくれ。軽く息を吐いて鼻に当てていたティッシュを退けるともう血はついていなかった。止まったか?という問いかけに頷くと、先生が立ち上がったので私もそれに倣う。

「俺のクラスは三年一組やで。ノリええ奴ばっかやからすぐ慣れると思うわ。まあ四天宝寺にノリの悪い奴なんておらんけどな!」

再び豪快に笑う担任。この人悩みなさそうだな、なんて失礼なことを考える。あれ、そういえば三年一組って謙也のクラスじゃないじゃん…。まあ流石にそこまで上手くいかないよね。えーと、一組ってことは確か…千歳だ!あのもじゃもじゃ巨人と同じクラスか、うひょー!「ほんなら声かけたら入って来てや」と言って担任は先に教室に入って行った。数秒後、どっ、と笑いが起きる。え、なに何が起こってるの?なんか先生ハードル上げてる?やめてよ私関西人じゃないんだから!

「みょうじ!呼んだら入って来いゆうたやろ!」
「どぅっわあ!」

ばん!と開いた扉に思わず女らしからぬ声を出してしまった。ちなみに格好は某ギャグ漫画のシェー。クラス全員の視線が私に突き刺さる。次の瞬間、水を打ったように静かだった教室は爆笑の嵐となった。

「っあはははは!なんやそのかっこ!」
「今の時代にそんなんするやつおんのか!」
「てかあんな声出せへんし!何やねん、どぅっわあ、て!」
「出せとるがな!」
「うわー、みょうじに今日一番の笑い持ってかれてしもた…!」

項垂れながら手招きする担任に従って教室に足を踏み入れる。やばい恥ずかしすぎるんだけど。未だ笑い続けている生徒たちに顔が熱くなるのを感じた。

「お前ら静かにせぇ!みょうじ、自己紹介したって」

その言葉に頷き小さく深呼吸をして、どくどくとうるさい心臓を落ち着かせる。今度は慎重に、慎重に…よし!

「はじめまして!みょうじなまえです。今日からよらびっ!」

噛んだ。死にたい。教室は再び笑いの渦に包まれた。




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