校門前に着いて違和感を感じた。何かが足りない。あ、看板がなくなってるんだ。怪我人が二人でたからかな?なんて考えながら校舎に入る。…さて、職員室はどこ?周りには生徒は疎か先生もいない。校内の地図を見ながらぼけっと立っていると後ろから地響きが聞こえた。何だろう、と思って振り返ったところでお腹に衝撃。う、と声を上げれば私のお腹に埋まっていたものがぴょこっと顔を出した。

「すまん、姉ちゃん!堪忍な!」

……赤茶色の髪の毛にこのヒョウ柄のタンクトップはもしかしなくても……金ちゃん…!?なんて運がいいんだ私は!ちょ、めっちゃ可愛いんですけど!破壊力抜群!何だか鼻血が出そうな気がして思わず鼻を押さえた。金ちゃんは急いでいるのか「ほんなら!」と言って走り去って行った。その様子を眺めていると後ろから声をかけられる。

「こんなとこで何しとるん?」
「え、…!」

透き通った声に振り向けば、左手に包帯を巻いている超絶に顔の整った男子がわたしを見つめていた。今度は白石ですか!!思わず名前を叫びそうになったのを何とか堪える。転校生だと伝え、職員室がわからないと言えば親切にも案内してくれた。お礼を言ってそういえば、と続ける。

「急いでたみたいですけど何かあったんですか?」
「え?あ、あー!金ちゃん逃がしてしもた!」

頭を抱える白石に慌てて謝る。私が引き止めてしまったのが原因だし。そんな私に彼は優しく微笑み「気にせんといて」と言ってくれた。ちょうど目的の場所に着いたところで予鈴が鳴る。

「ほんじゃ俺教室戻るわ」
「あ、はい。ありがとうございました」

軽く頭を下げると白石は手を振りながら廊下を歩いて行った。なんだあの爽やかオーラは。イケメン恐るべし。職員室の前で立ち尽くしているとドアが開き、出てきた先生がギョッとしながら一言。

「鼻血出てんで」

刺激が強すぎたようです。




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