謙也からこれからのことを聞いた。さっき翔太くんを追いかけて一階に行ったときに謙也ママパパにうまく説明してくれたみたいでなんと居候オーケーが出たらしい。…まじでか。身元不詳のどこの誰ともわからない奴を住まわせるなんて…いや、でも他に行くところなんてないから本当にありがたいんだけど。余計なことは言わないでおこう。

「居候させてもらうんだったら挨拶しときたいんだけど…今大丈夫かな?」
「さっき終業時間回ったし平気やろ。ほな行こか…えーと、……なまえ」

照れ臭そうに私を呼ぶ謙也。さっきまでは名字にさん付けだったんだけど、私が呼び捨てだからってごり押しで名前呼びさせることに成功した。そんなこんなで只今万里子さん(謙也ママ)と宗也さん(謙也パパ)の前で正座してます。

「これからお世話になります、みょうじなまえです。ご迷惑おかけしてすいません」
「あら、そんなに畏らんでええんよ!うち男ばっかで女の子欲しかったからなまえちゃんが来てくれて嬉しいんやで。自分の家やと思って暮らしてや!」

にこにこと笑いながら言う万里子さんの横で宗也さんは頷きながら「この家は男臭いねん!」と拳を掲げていた。万里子さんはそんな宗也さんをスルーして話を進める。

「それにしても今日が金曜で良かったわ。土日は必要なもん調達しよか」
「俺もついて行く!」
「何ゆうてんねん、お父さんは仕事やろ。私はこの週末久しぶりの休みやし〜」

ふふん、とドヤ顔する万里子さんとがっくりと肩を落とす宗也さんに思わず笑ってしまった。万里子さんはあ、と声を上げると謙也を呼んだ。

「なまえちゃんの部屋、あんたの隣やから布団運んどいたげて。確か物置にお客さん用の布団あったはずやし」
「そんな!私が運びます!」
「んー、よし。ほんならちょっと手伝ったってくれる?」
「はい!」

再び謙也と共に二階に上がり布団を運んだ。といっても私は枕しか運んでないんだけど…。持つと言っても「重いしあかん」の一点張り。そんな優しいところにもキュンキュン。運び終わったあとはいぐっさんとスピーディちゃんを眺めながら二人でまったり。いぐっさんについては万里子さんと宗也さんが「一匹も二匹も一緒や!」と笑って言ってくれた。私の両親も謙也の両親も珍しいと思う。




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