『三年C組みょうじなまえ、至急職員室へ』

帰り支度をしているとスピーカーから流れた自分の名前。そういえば朝に放課後職員室に行くように言われてたっけ。教科書などが入った少し重い鞄を持ち、まだ教室に残っている生徒に挨拶をしてから職員室へ向かった。






「失礼します」

さっき放送を流した人物、榊太郎の元に近付く。彼は私の姿を確認すると立ち上がった。

「言っていた通り私の推薦ということで男子テニス部のマネージャーをしてもらう」
「わかっています」
「……頼んだぞ」

小声で会話をしたあとは沈黙が続く。会話をする必要もないんだけど。テニスコートに着くと榊は跡部景吾を呼んだ。

「なんですか」

跡部は私を横目で見ながら榊に問いかける。私は気にせずに今回のターゲットを捕えていた。

「部員を集めろ。新しいマネージャーを紹介する」
「…マネージャーは既にいますが」
「一人では何かと大変だろう。私からの推薦だ」

榊の言葉に跡部は訝しげに私を見てくる。数秒それが続いた後、彼は声を張り上げた。

「集合!」

部員がぞろぞろと私たちの周りに集まってきた。彼等は私を不思議そうに見つめる。

「景吾、どうしたの?」

猫撫で声の女性徒がこちらに近付いてくる。
―――神崎愛奈
その化けの皮、引き剥がしてあげる。覚悟しててね?私は緩む顔を抑えることができなかった。





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