ガンッ、静かな部屋に鈍い音が響いた。どいつもこいつも俺様を舐めやがって!あいつが、みょうじなまえが来てからいいことがねぇ。あいつさえいなければ愛奈が苦しむことも、幸村のやつに侮辱されることもなかったんだ!部活がうまく行ってないと気づいているはずの監督は何も言わねぇし!ちっ、と舌打ちをしたとき部屋のドアがノックされていることに気づいた。ドアを少し開けると不安そうな顔をした愛奈。肩の力が抜け、自然と笑みが零れる。

「どうした?」
「午後の練習が終わったあと調子悪そうだったから心配で…。もしかしてAグループで何かあったの?なまえちゃんに嫌なことでも言われた!?」
「愛奈、落ち着け」
「私はどんな目にあってもいいけど大切な人が傷つくとこは見たくないよ…っ」

思わず俯いた愛奈を抱きしめた。なんでこいつが泣く羽目になるんだ。自分より相手を優先するような仲間思いな奴が傷つくなんておかしい。痛い目を見るべきなのは誰かなんて考えるまでもないはずだ。監督が動かねぇってんなら俺様が制裁を加えてやるよ。

「少し調子に乗りすぎたな、みょうじ」

そう呟いたとき、俺の胸に顔を埋めた愛奈が笑っていることに気づくことができなかった。





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