全て話したあと、沈黙が流れた。最初合っていた目は途中で大石が俯いたため交わっていない。待てども言葉を発する様子もなにか行動する素ぶりもないので、痺れを切らした私が名前を呼ぼうとしたら、

「俺…みょうじさんを信じるよ」
「……え」
「こうして君の頭にたんこぶがあるのは事実だし、それに昨日の昼の話を聞くとどうもね…」

困ったように眉を下げる大石。やはり昨日の昼のことをいうのが一番手っ取り早いのかな。……ん?チラリと視界に入った時計が示すのは七時十分。朝食の時間になってしまっている。私が見ているものに気がついたようで大石も時計に目をやった。

「え、わ、七時過ぎてる!みょうじさん、動ける?」
「あ…大丈夫だと思う。ありがとう」
「よし、じゃあ行こっか」

ベッドから降りて大石のあとに続く。観音開きになっている食堂の扉を開けたことによって全員の視線がこちらに向けられた。大石が「遅れてすいません」と頭を下げたので私もそれに倣う。

「何かあったのか」
「私が倒れているところを大石くんが助けてくれました」

榊の問いに答える。一瞬跡部を見てみると奴は興味なさそうに、いや、実際ないんだろう、黙々と料理を口に運んでいた。榊の眉間の皺がいつもより更に濃くなる。彼に促され私たちはテーブルについた。

「……」

昨日より視線が増えている。桃城と菊丸、海堂、乾、河村、広瀬、望月…不二も、か。彼は気づくかと思っていたから意外だった。とりあえず菊丸から伝わる怒りが半端じゃない。きっとダブルスパートナーが騙されたと思ってるんだろうね。騙されてるのは自分だって気づかない馬鹿な人。





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