「隠れてないで出てきなよ、越前くん」

昨日と同じ台詞。違うのは彼の名前がつけたされたこと。私の呼びかけに応じて越前も昨日と同じように物陰から現れた。その表情は少々不貞腐れているように見える。

「またバレた」
「バレたくないならその目つきをどうにかした方がいいと思う」

そう言えば越前は無意味に帽子を被り直し「それより」と切り出した。不思議に思って彼を見つめる。

「いるんじゃん、仲間」
「…見てたの?」
「まあね」
「邪魔、しないでね」
「するわけないじゃん」

面白そうだから見てるけど、と付けたし私に背を向けて歩き出した越前の名前を呼び、振り返ったところでペットボトルを投げる。彼は少し驚いたように目を丸くしたがそれは難なくキャッチされた。

「どーも」
「昨日のお礼」

手をひらひらさせながら再び前を向いて歩き出した越前。姿が見えなくなったところで私もカゴに入れたペットボトルを持ってコートに行くことにした。





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